新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、緊急事態宣言が出た大阪。大阪市職員が3月1日から4月4日の間に5人以上での会食などを行っていたケースは200件以上、参加した職員は1000人を超えるなどデタラメな実態が明らかになった。 大阪市は3月1日、市内の飲食店に午後9時までの営業時間の短縮を求め、市民には「4人以下でのマスク会食」を呼びかけていた。しかし、3月末に大阪市の高齢施設課職員9人が飲食店で送別会を開催。別の部署でも5人で会食するなど合計で5人が新型コロナウイルス感染したことから、全職員を対象に調査していた。 大阪市の松井一郎市長は記者会見で「本当に申し訳ないと思う、皆さんに」と陳謝した。 大阪市の調査に対して、5人以上で飲食をしていたと回答した職員のAさんはこう話す。 「1週間ほど前に聞かれました。本当のことを話すか悩みましたが、参加者は複数いて、誰かが真実をしゃべるとウソつきになると思って正直に答えました」 Aさんのいる部署で送別会が開催されたのは、3月末のこと。後に感染者を出し問題になった、高齢施設課の焼き肉店の送別会と同じ時期だった。 開催した理由について、Aさんはこう明かす。 「大阪市役所から離れた部署へ異動したり、退職する人もいたこと。コロナ禍でしばらくはゆっくりと話せないし、時間内で飲もうという話になったのは3月中旬でした。聞けば、他の部署でも送別会を10人くらいでやっているとも入ってきた。バレなければいいんじゃないかと居酒屋を予約しました」 だが、時短営業で夜は9時まで。多人数で予約すると、目立つ。総勢9人だったというAさんの部署の宴会はどうやって場所を確保したのか。 「最初は13~14人が出席予定だった。そこで、居酒屋にまず4人で予約。別の人がもう4人を予約して、その後4人追加と連絡をして12人。居酒屋には2~3人追加になるかもと伝えていた」
「4人以下」と悟られないように「偽装工作」をしながら、予約したという。他の部署でも同じように予約していたそうだ。なぜ、そこまで無理して、こんな時期に送別会をするのか。 「大抵、どの部署でも懇親会費を毎月、数千円集めて、忘年会、送別会、暑気払いなどをやっています。しかし、昨年冬から新型コロナウイルス感染拡大し、忘年会もないし、暑気払いもダメ。お金が余って返金もとなった。だが、役所、役人の変な考えで、予算を余らせても仕方ないだろうと上司が音頭をとる。やっぱり、役所は上司の意向を部下は尊重しますからね。誰もその上司に意見する人はおらず、開催は決まった」 送別会の当日の写真をAさんは見せてくれた。当初の予定より参加者が減ったが少なくとも、9人の姿が写っていた。上司らしき人がマスクを外して、立って挨拶し、送別会がはじまると誰もマスクをせず、飲み食い、歓談をしている様子の写真もある。数枚の写真を見ると、夜9時20分頃のものもある。 「居酒屋もガラガラで、ちょっとくらい遅くなっていいですからと9時45分くらいまで店にいました。上司らは『次はカラオケだ』と言っていたが、さすがに今はダメですと周囲が止めていた。今のところ、参加者から感染者は出ていませんが、焼き肉店で送別会をやったグループからコロナが出たと聞き、ヤバいと冷や汗が出た」(Aさん) 大阪市職員から見れば、松井市長が一番の上司にあたる。なぜ、松井市長が繰り返し市民に呼び掛ける不要不急の外出や、マスク会食など、午後9時過ぎの飲食禁止などが思い浮かばなかったのか?小声で反省の弁をAさんはこう語る。 「個人的に言えば、長く飲みに行っておらず、みんないろいろと溜まっているものがあり、気がつけば午後9時でしたね。送別会では『もうワクチン接種するんだから少々飲んでいてもいいだろう』というとんでもない声もあった。久しぶりだったので、マスクなしでけっこう盛り上がって騒いだ。公務員なのに時間や人数も守れなくて恥ずかしい」 松井氏は4月23日の記者会見で「厳重に対処します、すべての人に」厳しい処分の意向を示している。(AERAdot.取材班)